キャリア・ポートレート コンサルティング
「自律した個として強い職業人」をつくる人財教育
新入社員向けフォローアップ
キャリアマインド基礎研修
◆対象:
新入社員
(新入社員の入社半年~1年後のフォローアップ研修)
◆形式:
集合研修型か、オンライン型(ZOOMなどのWEB会議ツールを使用)どちらでも可
標準1日間コース (スライド講義×ワーク×ディスカッション)
◆コース概要:
1.仕事・キャリアについて
1)仕事とは何か?についてさまざまに考えてみる
・【ワーク】仕事の3種類(価値を増やす・形を変える・新しくつくりだす)
・仕事の平面的広がり (作業としての仕事から、使命としての仕事まで)
・「よい仕事」とは何か?
2)キャリアとは何か?についてさまざまに考えてみる
・職業=occupation(占有するもの)
・キャリアは日々の業務の積み重なりである
・つくりにいくキャリアとできてしまうキャリア
・登山型キャリアとトレッキング型キャリア
・キャリアをつくる基本要素
・【ワーク】「タワービルディングゲーム」
3)目的と手段について
・目的と手段の定義
・結果とプロセスどちらが大事か
・利益獲得は目的か手段か
2.知識・能力を伸ばし発揮する
1)知る力
・知る力を広げよう
・知る力を深めよう
・知る力を膨らませよう
2)考える力
・考えるとは書き出すこと
・一番よく考える人は「教える人」
・咀嚼力、編集力、判断力、説明力
3)アウトプットする力
・方向性とイメージを持つ/方針を立てる
・ゴールまでの道のりを分割する
・ビジビリティを高くする(上司・他者に進捗を見せるようにする)
・習慣化する
4)専門力と統合力
・T字型/t字型の人財
・ハードスキルとソフトスキル
・ポータブルスキルと企業ローカルスキル
・スペシャリスト、ゼネラリスト、エキスパート、プロデューサー
5)成長意欲を持つ
・ヨコの成長/タテの成長
・連続的な成長/非連続的な成長
・ゲームの3達者(枠の中の人/枠を仕切る人/枠をつくる人)
・仕事の改善・進化を止めない
6)能力をひらく能力=「メタ能力」の重要性
・「単に~ができる」と「成果を出す」は大きく異なる
・事業組織における「仕事ができる人」は
・能力を「場」にひらける人
・能力を「意味」にひらける人
【ワーク】モザイク作文
3.自律的なマインド・価値観をつくる
1)自立と自律の違い
・5+3=8、○+○=8、○+○=8
・守/破/離
2)個として強いプロフェッショナルになる
・会社人意識と仕事人意識
・個人につく人脈/会社につく人脈
・孤独を怖れない
3)仕事を「自分ごと」化する
4)自分の基点をつくる
・自分の働く上での価値観を意識する
・ロールモデルを持つ
・座右の書を持つ
・一度限界までやってみる
4.1年後の自分に向けたキャリア展望
【ワーク】「キャリアスタートアップシート」
1)イメージ(目指す像)とベクトル(方向性)を書き出してみる
2)自分にキャッチコピーを付けてみる
3)自分が最もできそうな貢献を書き出してみる
4)大事にしたい価値観を書き出してみる
5)あこがれモデルを探してみる
6)くじけないための座右の銘を見つける
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→ 研修内容は企業様の要望に応じてセミカスタマイズで設計いたしますので、
お気軽にお問い合わせください。
研修プログラム開発の意図
◆―――新入社員へのフォロー内容は彼らの3年先まで見据えるべき
新入社員研修には2つの区分があります。1つは入社直後の研修。もう1つは(一般的に多いのが)入社半年後あたりに行うフォローアップ研修。
前者はもちろん、配属前の彼らに必要最小限のスキル・マナー・心構えを教えて、配属現場に送り出すものです。後者は、配属現場で少し働いてみた後のもろもろの不安や不足を解消するためのものです。
私は特に、フォローアップ研修における「観・マインド」アプローチからの教育が重要だと考えています。理由は2つ。
1つめは、
安易な「ミスマッチ感」を抱かせないために
2つめは、漫然と忙しく働くだけの必ずしも「自律的」とはいえない働き方に
なってしまわないために
まず、1つめについて。
半年間、実際に仕事をやってみると、入社前の期待や理想と、現実の仕事内容や職場の雰囲気にギャップが生じ、それが不整合感や違和感となって表れます。配属が希望と異なっていた人であれば、なおさら「ミスマッチだ」となりますし、希望どおりに配属された人でも、「ひょっとしたら自分は場違いな会社を選んでしまったのかも」と感じはじめます。
ミスマッチは彼らにとって誘惑の言葉です。
ミスマッチという理由づけによって、辛抱づよくその与えられた場で能力を開いていく努力を脇に置いて、ある種、自己肯定してしまえるからです。「自分には潜在能力はあるが、ミスマッチだから開けないだけなんだ。環境を変えればなにかが起こるはず」と。ましてや彼らの周辺には情報が溢れています。第二新卒の求人情報や年収査定情報、成功した転職事例集といったものです。すると、はやる心の彼らは「早めにゲームをリセットしてやり直さなきゃ、負け組になってしまう」といった感覚に陥り、あっさりと転職カードを切ることもしばしば起こります。
こうしたミスマッチ感による心の揺らぎは、半年後のタイミングから、その後1年も2年も続き、拡大することも起こります。大卒入社の3割が3年以内に離職するという現象は、このこととつながっています。入社3年目に次の大きなフォローアップ研修を施すところが多いですが、20代の彼らにとって、その揺らぎの1年間、2年間はとても長い。ですから、新入社員のフォロー研修は、彼らのその後の数年先まで見据えたプログラムが必要だと留意すべきです。
私がこのプログラムを通し彼らに伝えているコアメッセージは、次のようなものです。
〇名言:
「最初の仕事はくじ引きである。
最初から適した仕事につく確率は高くない。
得るべきところを知り、向いた仕事に移れるようになるには数年を要する」。
───ピーター・ドラッカー
〇名言:
「人生とは10パーセントの我が身に起こること、
そして90パーセントはそれにどう対応するかだ」。
───ルー・ホルツ(米・アメリカンフットボールコーチ)
どんな会社・職場に行っても、100%自分の期待に合致する環境はありえない。なにかしらギャップがある。そのギャップを解消していくことが仕事の本質であるし、状況を創造していくことによって成長もある。キャリア形成はラグビーゲームに似ていて、常にイレギュラーバウンドする楕円球を相手にする戦いであること。偶発にはねた球をいかに自分の意志のもとに必然にしていくか、そうした状況創造の力が業務処理の知識や技能よりも重要になってくるということです。
キャリアは何十年とかけて完走するマラソンです。キャリアを中長期の目線で考えたとき、その最初の節目は3年だろうと私は思います。自他の経験を総合すると、丸3年というのは重要な長さで、1年間でもだめ、2年間でもだめ、丸3年を超えると不思議とみえてくる世界・得られる深さというものがあります。
まず3年留まって何かの結果を出す。それができずに居場所を変える人は、おそらく他に移っても同じ繰り返しになる確率は高い。私が発するメッセージは次の言葉に代弁されます。
〇名言:
「下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。
そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ」。
―――小林一三(阪急グループ創設者)
〇名言:
「転職は、今いる会社で実績を積み、
“伝説”をつくってからでも遅くはありません。
いや、実績を積んだときはじめて、
転職するもしないも自由な身になれるのです」。
―――土井英司『「伝説の社員」になれ!』
こういったことを入社半年後のタイミングで耳に入れ、意識づけしておくことが大事です。決して彼らを“子ども扱いしない”ことでしょう。「このことは言ってもまだ理解しないだろう」と思ったことでもきっちり耳に届けておきます。確かに、彼らは当面、半年や1年の間は目先の業務処理に精一杯かもしれません。しかし、そこからの成長は目覚ましいものがあって、仮に入社3年目にフォロー研修を行うとすれば、そのころにはずいぶんのことを学んでいるはずです。3年目までに「あ、そうか、入社時の研修で言われたことはこういうことだったのか」ということは多々起こりえます。
ですから、人事部としては3年レンジを考えて、伝えておくべきことは伝えておくということが、特に「観・マインド」教育においては必要だと思います。むしろそういうタイミングを逸してしまい、なにかしらの意識が固まってしまった後からでは、それを変えることは難しくなります。
◆―――自分の仕事・キャリアに「コンセプト」を入れよ
与えられた業務をきちんとこなす。担当仕事を正確に納期までにやり終える。設定目標をクリアする―――これらはもちろん入社時に伝えるべき原則です。しかし、もう一歩踏み込んで、「自分の仕事にコンセプトを入れよ」とまで伝えたいところです。ここで言うコンセプトとは「独自の切り口・想い・軸」といったことです。
新入社員はまず業務を指示通りにきちんとやり切ること。それ以上のことを求めるのは、アタマが一杯一杯になるので次の段階からでよい、といった考えは避けるべきだと思います。人間というのは習慣づけされる動物ですから、最初から、大小1つ1つの仕事にそこに盛り込む自分なりのコンセプトは何だ、独自性は何だ、意図は何だと考え、行動させるクセをつけさせておかねばなりません。
本プログラムの中の『名所タワービルディング・プロジェクト』は、自分の仕事にコンセプトを入れることを学ぶゲームワークです。
これは各自が手に持つ積み木と文具(=自分の知識や技能といった能力資産を比喩している)を組み合わせ工作して、チームで名所となるタワーをつくるものです。単に積み木を高く組んでタワーをつくるのではありません。「名所」となるべきタワーを要求されているのです。各チームは、独自のアイデア、切り口、発想、構造、特徴、売りになる点などを考えねばなりません。そして、手持ちの積み木と文具を最大限活用して、制限時間内にタワーをつくります。そして完成物とともに、タワー名・キャッチコピー・コンセプトを発表します。
もちろん「何が何でも高いタワーをつくってナンバーワンを目指すぞ」というチームもありますし、「うちは高さではなく形状や機能でオンリーワンを目指そう」というチームも出てきます。それはどちらも自分たちのコンセプトをそこに置いたという点で正しいのです。
問題は、結果的にどれくらいコンセプトが鮮やかであるか、そして実際出来あがった作品がどれだけ人を啓発させるものであるかです。漫然と特徴のないものをこしらえたチームは、自らの制作の姿勢がいい加減であったことに反省の気持ちがわいてくるでしょう。そういう自己反省こそいちばん効き目のある学びです。
その後、クラス全体で「自分の仕事にコンセプトを入れること」を詳しくディスカッションします。そしてさらに引き延ばして、「自分のキャリアにもコンセプトを持つ」ことを学んでいきます。キャリア形成というのは、まさに日々の1つ1つの仕事を積み重ねて、中長期的に大きな表現を建築していくことにほかなりません。仕事を言われた通りにきっちりやるだけでは、満足のいく仕事人生は築かれません。漫然と忙しく働いているだけでは自律とはいえず、むしろ他律の姿勢なのです。そんな点に気づきを与えていきます。
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その他、新入社員向け研修づくりについての参考記事です。
(キャリアポートレートコンサルティング代表の村山が執筆しております)